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2017-08-16

「ロースターは豆の演出家」Minéさん

インタビュー第7回。

アボッツフォードに今年オープンしたばかりのカフェ、AU79。

200席もある広い店内はグリーン豊かでまるで植物園の中にいるよう。そこにベーカリー、パティスリー、そして焙煎所があります。

そこで焙煎を担当しているのがMinéさん。

彼に人生の話、コーヒーの話、いろいろ伺ってきました!

28歳で思い切ってコーヒーの世界へ

AU79

Tomo(以下T): 日本にいたときからコーヒーのお仕事をしていたんですか?

Miné(以下M): 最初は、なか卯でスーパーバイザーをやっていました。その当時、僕の周りでは、スキルがあって何かを表現している人が多かったんです。そういう人たちってやっぱりかっこいいんですよね。だから僕もああいう風になりたいなぁって漠然とは思ってました。でもきっかけもないし、自信もないし。
で、30手前になった時に真剣に考えだして、5年後10年後を考えたときにあまり楽しい未来が創造できなかったんです。人生一度きりしかないし、死んでしまったらそれで終わりだから、もやもやした気持ちでいるよりは、やってみたいことを思い切ってやった方が良いと思って。
それで、28歳のときに思い切って仕事を辞めて、コーヒーをゼロから始めました。昼はエスプレッソマシンがあるコーヒー屋さんで、夜はフレンチビストロで働きました。

オーストラリアへワーホリに

AU79

最初は海外とか全然興味が無かったんですけど、週一回ボランティアで日本語を外国の方に教えてまして。僕と同い年のイギリス出身のバリスタの生徒さんがいて、その子と仲良くなっていろいろ海外の情報を教えてもらってるうちに、海外に興味がでてきたんです。

本当はイギリスに行きたかったんですけど、ワーホリ行こうと決めたのが30才だったので、ビザを取るのは厳しい。もう時間もないし、オンラインで申請できるのでオーストラリアに決めました。

T: どうしてメルボルンを選んだんですか?

M: その時ちょうどバリスタの世界大会がメルボルンであるので、それを見に行こうと思って。

T: メルボルンに来て、職探しを始めたわけですね?

M: こっちに知り合いも友達もいなくて、とりあえずバックパッカーに1週間泊まりました。その間にコーヒー屋を調べて、気になる所を回りました。
その時、僕、英語があまりできなくてね…。スーパーで買い物してレジ通るのも嫌でしたね~。だからレジュメ配りにコーヒー屋回るって言っても、英語も自信ないし、もう緊張してるから完全にカフェの雰囲気に飲まれちゃって。でレジュメ渡さないで帰って来ちゃったりしてたから、全然レジュメ配ってなかったんですよ。

LiarLiarとの出会い

たまたまLiarLiarに行ったときに、席がいっぱいだったんで、マシーンのそばで立ったままエスプレッソ飲んでたんです。そしたらバリスタの人が話しかけてきたんですよ。で、事情を説明したら、今たぶんバリスタ募集してるからっていうので、レジュメを置いてきました。そしたら次の日に電話がかかってきまして。何言ってるか全然分からなかったですけど。(笑)で、すぐに決まりました。嬉しかったですね~。

大きいカフェなら、作ることに集中するので、お客さんとのコミュニケーションはあまり要らないんですけど、LiarLiarは小さいカフェだし、レギュラーのお客さんがほとんどで、お客さんとのコミュニケーションは必須なんです。
大変だったけど、いかにコミュニケーションが大事かって事を学びましたね。その時は英語も一生懸命勉強しました。

最初の頃はすごくコーヒーと向き合ってました。でも、最後の方はお客さんとコミュニケーションを取っている方がハッピーだって気付いたんです。100点のコーヒーをずっと作るより、80点のコーヒーをいかに早くお客さんに作れるか。コーヒーを見つめることはもちろん大事なんですけど、ずーっと下を向いているバリスタより、しっかり前を向ける人の方が、僕は良いバリスタだと思いますね。

ヘッドバリスタの苦労

LiarLiarでヘッドバリスタ時代のMinéさん

働き始めて6か月後、ヘッドバリスタのTomが別のカフェに行きまして。その時フルタイムのバリスタが僕しかいなくて。それで、僕がヘッドバリスタになりました。

T: ヘッドバリスタになって違う大変さはありました?

M: やっぱり仕切っていかないとダメなので、精神的にも肉体的にも結構消耗しました。

自分がやりたい事とか、思い描いていることが上手く伝わらないっていうジレンマが常にありました。
今までのお客さんが離れていったり。その時は震えるくらい落ち込みましたね。
もう限界まで来てしまって。お客さんも離れていってる、言葉の壁もあるから皆にストレスを与えてしまう、それがまた自分のストレスにもなる。やっぱりヘッドバリスタはネイティブスピーカーであるべきだ、みたいなことをフルタイムのバリスタに全て話したんです。辞めて日本に帰るから後は頼むって。
そしたら、彼女が、「LiarLiarはMinéで成り立ってるし、MinéがLiarLiarに色を与えている。離れていったお客さん以上に新たなお客さんをとってきてるのに気づいてないの?」って言ってくれたんです。「Minéしかできないことはいっぱいあるし、Minéができないことは私たちがやればいい。それで全然問題ないじゃない。」って。

それで、できないことを無理にやろうとするのはもう止めよう、と思いました。だからと言って、できないと諦めてしまうのではなくて、努力をすることは大事ですけどね。

T: バリスタになりたい人にアドバイスは?

M: バリスタはステージの主役だと思ってます。ロースターの僕はシナリオライター。
バリスタの彼らが考えて、彼らが演じる。観客を惹きつける主役になってほしいですね。

何が美味しくて、何が美味しくないのか。コーヒーとしっかり向き合う。

T: バリスタになってからロースターに興味が出てきたんですか?

M: 最初から興味はありました。僕の中でロースターっていうのは花形なんですよ。味を形成する上ですごく大事なポジション。

T: 今のロースターのポジションはどのようにしてゲットしたんですか?

M: LiarLiarのオーナーがビジネスを広げたいから、その時はロースターやってくれって頼まれてたんです。最初は冗談半分かと思って、「やるやる~。」って軽く言ってたんですよね。そうしたら、話が真剣になってきて。もうラッキーでしかないですよね。

今振り返ると、バリスタのうちにコーヒーとしっかり向き合うのはすごく大事だと思います。良いコーヒーを知ってないといいものは作れない。何が美味しくて、何が美味しくないのか。そこがブレてるといざローストした時に根本的にズレて来る。
好みの問題もあるし、正解がないので、その中で自分なりの正解を作っていく。そこが難しいところですね。

ロースターは豆の演出家

M: ロースターはバリスタと違ってもっともっとコーヒーと向き合わなければいけないシビアな世界。
焼いたコーヒーが気になって、朝めっちゃ早く目が覚めてしまうんです。

T: ブレンドもします?

M: ハウスブレンドをします。ブレンドはミルクでしか使わないので、それ用に考えてブレンドしてます。ミルク用にシングルオリジンを使ってもいいんですけど、ミルクの味って強いし、シングルオリジンだと線が細くなる時があるんです。線を太くするために、ローストを深くすればいいかっていうとそうでもない。苦みは増すけど、コーヒー自体の印象は細いままなんです。じゃあ、どうやって太くするかっていうと、違う要素のコーヒーをブレンドすることによって複雑味がでてくる。その複雑味が深みになる。感覚的に線が太くなるんです。フレーバー、酸味、甘み、これらがボディにつながる。

ロースト前の生豆

T: 色んな豆の特徴を知ってないとダメですね。

M: もちろん。豆を知ることができるいいチャンスですよ。大変だけど。
今はブレンドも安定しましたけど、最初の頃はすごーくバッシングがあって大変でした。ハウスブレンドっていうのは一番大事ですから。一番消費されるし、お客さんは味に敏感なんで。
いまだに毎日家に豆持って帰って味を確認したりしてます。時間、空間、リラックス度etc…いろんな要素によってコーヒーの感じ方が微妙に違う。だからいろんな角度からテイストするようにしています。

僕は、本来すべてのローストは、条件は一定であるべきだと思うんですが、本当にそれでいいのか?という疑問は常にあります。豆それぞれフレーバーの特徴が違うので、それを生かせるようにもっと突き抜けさせてもいいのかな…とか。

T: 豆の演出家みたいですね~。

M: そうですね。そうありたいんですけど、まだ分からないことだらけなので、トライ&エラーです。
正解がないので、自分になりに正解を見つけるしかない。
これでいい、って思ってても、同じ豆を使ってる違うロースターさんのコーヒーを飲んだ時に、うわ~、やられた!って思うんです。良いロースターさんは、ロースト具合は大体一緒なんですよ。だけどフレーバーの出方が全然違う。で、また迷うんです。(笑)

T: 常に勉強、研究ですね。

M: そうですね。

自分のスタイルを持つ

T: Minéさんにとっていいロースターというのは?

M: 自分のスタイルを持ってる人です。僕のフレーバーを持つっていうのは夢ですね。

飲んだ時に、「あー、これMinéのコーヒーだよね~。」って言ってもらえるのが理想ですね。

おわりに

いかがでしたか?

私自身コーヒーが大好きなので、Minéさんのお話しはとーっても興味深かったです。

バリスタはステージの主役、ロースターはシナリオライター。そして日々真剣に豆と向き合うMinéさん。

コーヒーを飲んだだけで、「あー、Minéさんっぽいな~。」って思える日がきっと来ると信じています。

 

AU79

au79cafe.com.au

27-29 Nicholson St, Abbotsford, VIC Australia

月―金 7am-4pm

土、日 8am-4pm
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